蓄電所をご購入されたい方へ
蓄電所(系統用蓄電池)は、電力の需給を調整するための設備です。設備そのものを取得し、売電による収入を得る形の設備投資として、事業者の皆さまからお問い合わせをいただいています。ここでは、何を取得することになるのか、収益がどこから生まれるのか、税制上どう扱われるのかを、要件とリスクを含めてご説明します。
1. 何を取得することになるのか
蓄電池ユニット、パワーコンディショナ、(高圧の場合は)キュービクル、基礎、フェンス一式です。建物は建たず、ふだんは無人で、遠隔から監視・制御されます。規模は低圧(〜49.9kW)と高圧(50kW〜2,000kW)に分かれます。
当社は蓄電所の用地に関するご相談をお受けする窓口です。全国の地権者様からお寄せいただいた土地を提携先の専門会社が精査し、適地と判断されたものが案件になります。用地の確保が全国的なボトルネックになっているため、ここが起点になります。
- 土地の
ご相談 - 提携先が
精査 - 用地の
確保 - 建設
- 稼働前に
取得 - 運用開始
設備の中身、大きさの区分、法律上の扱い、設置までの期間については、「蓄電所とは」で詳しくご説明しています。
2. 収益は3つの市場から生まれます
- 昼(価格が安い)に充電
- 夕方(価格が高い)に放電
-
卸電力市場 価格が安い時間に充電し、高い時間に放電します。価格は30分ごとに変動します。
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需給調整市場 「すぐ使える電源」として待機します。実際に使われなくても待機自体に対価があり、使われた分は別途精算されます。主な収入源にあたる部分です。
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容量市場 4年先のオークションで供給力を約束し、毎年一定額を受け取ります。市場価格に左右されにくい部分です。
太陽光発電が売電の一本柱であるのに対し、蓄電所は収入の柱が3つに分かれます。日々どの市場で運用するかは、アグリゲーターと呼ばれる運用の専門会社が判断します。
いずれの市場も価格・約定状況によって収益が変動します。将来の収益を保証するものではありません。
3. 税制の考え方
税金を「減らす」のではなく、「後ろにずらす」しくみです
10億円の利益が出た年に、7億円で蓄電所を取得したとします。このうち設備・工事にあたる6億円が即時償却の対象になった場合、初年度の計算は次のようになります。
| 項目 | 通常 | 即時償却を使った場合 |
|---|---|---|
| 利益 | 10億円 | 10億円 |
| 償却 | — | △6億円 |
| 課税所得 | 10億円 | 4億円 |
| 法人税等(30%で試算) | 3億円 | 1.2億円 |
通常
- 利益
- 10億円
- 償却
- —
- 課税所得
- 10億円
- 法人税等(30%で試算)
- 3億円
即時償却を使った場合
- 利益
- 10億円
- 償却
- △6億円
- 課税所得
- 4億円
- 法人税等(30%で試算)
- 1.2億円
初年度の納税額は1.8億円少なくなります。
償却を初年度に使い切るため、2年目以降は償却費がゼロになり、売電による利益がそのまま課税所得になります。長期で見た税額の総和は基本的に変わらず、変わるのは支払うタイミングです(税務でいう課税の繰延にあたります)。
得られるのは「1.8億円を、いま手元に置いて事業に回せる」という時間の価値です。
支払う総額は変わりません。順番が変わるだけです。
出口では、繰り延べた分が精算されます
即時償却をすると、帳簿上の価値(簿価)はゼロになります。そのため売却したときは、売却代金の全額が利益として課税されます。
「現金が必要になったら売却できる」というのは事実ですが、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。繰り延べた税金は、このタイミングで精算されます。この点を含めて出口を設計してください。
回収について
取得費用は、売電収入から回収していく形になります。回収の速さは、次の3つで変わります。
- 3つの市場(卸電力・需給調整・容量)の価格と約定の状況
- 運営費(アグリゲーター手数料、保安業務の委託費、保険、償却資産税、修繕、機器の更新費用など)
- 2年目以降は償却による圧縮がないため、利益にかかる法人税
これらは案件ごと・立地ごとに変わるため、具体的な試算は個別にお出ししています。一律の利回りや回収年数をお示しすることはしていません。
適用には要件があります
ここでご説明しているのは、産業競争力強化法にもとづく主務大臣の確認を前提とした制度(大胆な投資促進税制)です。主な要件は次のとおりです。
- 投資下限額:35億円以上(中小企業者等は5億円以上) 設備の規模がこの下限に届かない場合、そもそも制度の対象になりません。御社が「中小企業者等」に当たるかどうかで、必要な金額が7倍変わります。
- 投資利益率(ROI):年平均15%以上 投資計画のなかで示す必要があります。売上ベースではなく、費用を控除した利益ベースで組み立てます。
- 貸付用資産・中古資産は対象外 取得した設備を運営会社に貸して賃料を受け取る形は「貸付用資産」、すでに稼働している設備を取得する形は「中古資産」として、いずれも対象から外れます。取得される方ご自身の事業として、稼働前に取得していただく必要があります。
- 取締役会など適切な機関の意思決定に基づくこと 令和7年12月26日以降に意思決定された投資計画が対象です。
- 令和11年3月31日までに、主務大臣の確認を受けること 産業競争力強化法にもとづく確認が前提で、申請から確認まで1ヶ月程度かかります。申請窓口は各経済産業局です。
- 他の設備投資税制とは併用できません 投資計画の期間中は、中小企業経営強化税制・地域未来投資促進税制・カーボンニュートラル投資促進税制は適用しないこととされています。
当社は税務相談をお受けしておりません。上記は制度の一般的なご説明です。実際に適用できるかどうかは、顧問税理士および所轄の経済産業局へ必ずご確認ください。
4. ご留意いただきたいこと
- 収益は市場価格によって変動します 3つの市場はいずれも価格・約定状況が変動します。特に需給調整市場は、蓄電池の参入が増えるほど単価が下がる方向に働きます。将来の収益を保証するものではありません。
- 2年目以降は、償却による圧縮がありません 初年度に償却を使い切るため、翌年以降は売電による利益がそのまま課税所得になります。回収の試算は、この点を織り込んだうえで行う必要があります。
- 工事費負担金は立地によって大きく変わります 電力会社側の工事が必要な場合の実費で、0円から数千万円まで幅があります。金額は接続検討の回答で判明するため、用地が決まるまで確定しません。
- 機器には寿命があり、更新費用がかかります パワーコンディショナをはじめ、期間中に更新が必要になる機器があります。運営費として見込んでおく必要があります。
- 保安の体制が必要です 蓄電所は事業用電気工作物にあたるため、保安規程の届出と電気主任技術者の選任(外部委託が可能)が必要です。ご自身の事業として運営する形をとる以上、この義務は取得される方に生じます。
- 制度は変更される可能性があります 税制・電力市場の制度はいずれも見直しが行われます。本ページの内容は作成時点の公表資料にもとづくものです。
5. 当社の役割
設備の売買契約は、売主である提携先の専門会社とご購入者様との間で締結されます。
当社は宅地建物取引業者ではなく、土地の売買・賃貸借の媒介および代理は行いません。
当社は税務相談を行いません。
出典:経済産業省「大胆な投資促進税制」パンフレット、資源エネルギー庁 系統ワーキンググループ資料(2025年9月24日)ほか。本ページの内容は作成時点の公表資料にもとづくものであり、制度は変更される場合があります。記載の金額は制度の説明のための試算例であり、実際の税額・収益を示すものではありません。